
行政書士
宮本絵理
化粧品業界のサポート通じて、キレイになってテンションが上がり「よし、今日も頑張ろう!」と思える人を増やしていきたいと思っています。あなたの化粧品ビジネスの新規参入を全力でサポートさせていただきます。
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[化粧品許可]
化粧品を倉庫で保管・管理する際には「化粧品製造業許可」が必要な場合があります。
本記事では、化粧品製造業許可と倉庫の関係、許可取得の要件や手続き、物流倉庫で化粧品を扱う際の注意点について、わかりやすく解説します。
化粧品の保管や流通加工に関わる法人にとって、押さえておきたいポイントをまとめました。
目次
化粧品の流通においては製造工程を担う工場だけでなく、保管を行う倉庫システムにも法的な許可が求められる場合があります。その中で必須項目となるのが「化粧品製造業許可」です。
本章では両事業の関係性に焦点を当てます。
倉庫業とよばれる業態は一見、「製造」という事業とは無関係に思えるかもしれません。
ただ実際には、化粧品の「包装・表示・保管」も、法律上は製造行為の一部とみなされます。たとえば、商品の入庫時にラベルを貼り換える、販促用の化粧箱に詰め替える、あるいは単に保管するだけといった作業でも、「化粧品の品質・安全性に直接関わる」として、化粧品製造業許可が必要です。
近年では、化粧品を出荷前にパッケージングする「流通加工」が一般的になってきました。このような加工業務を倉庫内で実施する場合、行政はこれを製造行為と判断します。
化粧品は人の皮膚に直接触れる製品であるため、衛生管理や品質管理が非常に重要です。そのため単なる保管業務と流通加工の区別は法的には明確でなく、すでに完成した製品であっても僅かな加工を施すことで「製造」に該当し、許可の取得が必要になるのです。
「化粧品製造業許可」とは化粧品を製造するために必要な許可のことです。化粧品を製造する業者は、必ず申請しなければなりません。ここでは化粧品製造業許可の種類と内容を詳しくみていきます。
化粧品製造業許可には、「一般区分」と「包装・表示・保管区分」の2種類があります。
「一般区分」は、原材料の混合や成分調整といった化粧品そのものの製造を行う場合に必要な許可です。
「包装・表示・保管区分」は、製品の最終工程に関わる作業、たとえば容器への詰め替えや外装の包装、ラベル貼付、倉庫での保管などを対象としています。
倉庫での業務が対象となるのはこの「包装・表示・保管区分」であり、化粧品の製造ではなく保管を行う場合でも、この区分での許可が求められることがあります。
化粧品関連の業務にはもう一つ、「化粧品製造販売業許可」というものがあります。
これは製品を市場に出す責任を持つ企業が取得すべき許可で、化粧品製造業許可とは異なります。つまり製品を「製造」する企業と、「販売」する責任を持つ企業は、それぞれ別の許可を取得する必要があるということです。
たとえば、市場出荷可否判定前の自社製品を他社の倉庫で保管・出荷する場合は、倉庫側が製造業許可(包装・表示・保管区分)を、自社が製造販売業許可を持つ必要があるのです。このように倉庫で化粧品を扱うには、法的な位置づけと許可区分の違いを正確に理解しておくことが重要です。
化粧品製造業許可を取得するには要件を満たさなくてはなりません。本章では取得の要件を分かりやすく解説します。取得要件は、大きく3つに分類されます。
・人的要件
・構造設備要件
・申請者要件
人的要件とは責任者要件のことです。化粧品製造業許可の取得にあたっては「責任技術者」に関する要件のことを指します。薬機法第17条第10項には責任技術者の設置として、以下のように規定されています。
「化粧品の製造業者は、厚生労働省令で定めるところにより、化粧品の製造を実地に管理させるために、製造所ごとに責任技術者を置かなければなりません。」
責任技術者は化粧品の製造や関係法令に精通していることが求められ、次の4つのカテゴリーに分けられます。
①資格(薬機法施行規則第91条第2項)
薬剤師資格保持者。
②学歴(薬機法施行規則第91条第2項)
旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
③学歴+実務経験(薬機法施行規則第91条第2項)
旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
④その他(薬機法施行規則第91条第2項)
厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
構造要件は化粧品製造所の設備や器具、環境に関する要件です。
製造業許可を取得する場合、製造所の構造設備が、厚生労働省令で定める基準(薬局等構造設備規則)を満たしていることが必要です。「一般」と「包装・表示・保管」それぞれに、薬局等構造設備規則で基準が定められています。
◇一般区分の要件
① 製品を製造するのに必要な設備や器具を備えていること。
② 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
・換気が適切であり、清潔であること。
・ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
・作業を行うのに支障のない面積を有すること。
・防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
・ 床は、板張り、コンクリート等であること。
・ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
③製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
④製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、他の試験検査機関を利用して試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときは、この限りでない。
◇包装・表示・保管区分の要件
① 製品や資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造や設備がある事。
② 作業を適切に行うのに支障のない面積があること。
③ 製品や資材の試験検査に必要な設備や器具を備えていること。ただし、他の試験検査機関を利用して試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときは、この限りでない。
届出を行う申請者あるいは法人であれば業務を行う役員全員が、一定の欠格事由に該当しないことが要件となります。欠格事由は下記のとおりです。
第1章において、倉庫と化粧品製造業許可の関係を学びました。
本章ではより具体的な背景を理解していきます。全体的な概要の解像度を深めることで、化粧品ビジネスの全貌を知ることが可能となります。
化粧品に関する規制は薬機法に基づいて定められています。
薬機法では「製造」という行為を単に原料を混ぜて製品を作ることだけでなく、「包装、表示および保管」も含む広い意味で定義しています。つまり完成した製品を倉庫で保管することも、製造行為の一部と見なされるのです。
これは保管中に商品が劣化したり、表示ミスがあったりした場合、その責任が品質管理に及ぶからです。こうした背景から、製品の品質を担保するためにも、倉庫業者であっても化粧品製造業許可の取得が必要となるのです。
注意を要するのが倉庫内で行われる軽微な作業です。
たとえば販促キャンペーンに合わせてラベルを貼り替えたり、セット商品としてパッケージングし直したりする作業も、法的には製造行為とみなされます。たとえ製品の中身には一切触れていなくても、その包装や表示が消費者に与える影響を考慮し、品質管理の一環として厳格なルールが定められているのです。
こうした業務を担う倉庫は単なる「保管場所」ではなく、製造工程の一部として扱われることになります。化粧品製造業許可が必要となる背景が上記内容で説明されます。
輸入した化粧品を保管する場合のみでも化粧品製造業の許可が必要です。
この場合、日本語表示のラベルを張る場合はもちろん上記の表示・包装作業になる為許可が必要。たとえ海外で日本語表示のラベルを張ったものを輸入する場合も、日本での市場出荷可否判定前の製品を保管する場合は製造業の許可が必要となります。
倉庫で化粧品を扱うために化粧品製造業許可の取得が必要なことについて学んできましたが、許可を取得すればOKというわけではありません。化粧品は非常にデリケートに製造されているため、品質管理や安全管理の徹底が大事になります。倉庫で適切に保管するために知っておきたい幾つかの注意点を解説します。
化粧品を物流倉庫で保管・管理する際には、委託元と委託先の責任の所在を明確にすることが重要です。
一例として製造販売業者が自社製品の保管を倉庫会社に委託する場合、保管中の品質維持や誤表示の防止などに関しては倉庫側にも責任が及びます。こうしたリスクを未然に防ぐには、委託契約書において誰がどこまでの管理責任を負うのかを詳細に定めておくことが求められます。とくにラベルの貼付や梱包作業などを含む場合は業務内容が製造行為と判断されるため、製造業許可の有無が大きな意味を持つことになります。
化粧品の物流を外部に委託する際には、その倉庫が化粧品製造業許可の「包装・表示・保管区分」を取得しているかを必ず確認しましょう。単に取得しているだけでなく、実際にどのような管理体制で運営されているか、専任技術者が常駐しているか、定期的な清掃・点検・温湿度管理がなされているかなどもチェックポイントとなります。
万が一保管中に品質に問題が発生すれば製造販売業者側にも影響が及ぶため、倉庫選定は慎重に行わなければなりません。専門的な観点を持つ行政書士などに相談することも大変有効になるでしょう。
化粧品を倉庫で保管する際には、単にスペースを確保するだけではなく、薬機法に基づく「化粧品製造業許可」の取得が必要になる場合があります。とくに、ラベル貼付や包装などの流通加工を行う際は、これらの作業が法的には「製造」に該当するため、許可がなければ違法行為となるリスクがあります。
許可を取得するには衛生的な設備環境だけでなく、製造管理者の配置などの人的要件も満たす必要があります。さらに物流倉庫を選ぶ際は、温度・湿度管理、ロット管理などの体制が整っているかを確認し、許可取得済みで信頼できる業者を正しい情報を活用して選定することが重要です。
化粧品の品質保持とブランドの信頼性を守るためにも、倉庫システムにおいて法令遵守を徹底し、適切な管理体制を構築しましょう。
化粧品の倉庫保管にも「GMP(適正製造基準)」は関係ありますか?
GMPは化粧品を安全かつ高品質に製造・管理するための基準です。化粧品においてはGMPは適用除外となっており取得の義務はありませんが、品質や安全性の向上、海外進出の際には取得が望ましいと言えます。
化粧品製造業許可を持つ倉庫であれば、GMPの基準に基づいた管理体制が構築されていることが望ましいでしょう。
化粧品製造業許可の有効期間や更新手続きはどうなっていますか?
化粧品製造業許可は原則5年ごとの更新が必要です。更新には定期的な実地調査や書類の提出が求められることがあり、継続的な設備・人員体制の維持が条件となります。更新手続きを怠ると、許可が失効する可能性があるため注意が必要ですよ。
化粧品の品質管理で倉庫が担う役割を改めてまとめてもらえますか?
倉庫では製品に直接触れない場合でも、品質に大きく影響を与えかねない大事な役割を担っています。温度や湿度の適切な管理、製品の入出庫時の点検、ロットごとのトレーサビリティなどが品質管理の必須要素です。特に長期間の保管が必要な製品の場合は倉庫の管理体制が製品の品質維持を大きく左右します。
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