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化粧品製造・販売に必要な許可について詳しく解説【専門家監修】

  • 投稿:2024年09月28日
  • 更新:2024年10月08日
化粧品製造・販売に必要な許可について詳しく解説【専門家監修】

化粧品ビジネスを始めるうえで、最も重要な事項が「化粧品製造・販売のための許可」です。

本記事では化粧品の製造・販売で必要な許可について、わかりやすく解説してきます。

まだ右も左も分からないという方でも、これを読めば一本の道筋が引かれることと思います。

あなたの化粧品ビジネス成功への道を、しっかり歩めるきっかけとなれば幸いです。

化粧品の製造・販売に必要な許可とは

自社で化粧品の製造から市場で販売するまで一貫して行うためには、以下の2つの許可(免許)が必要となります。

  • 化粧品製造業許可
  • 化粧品製造販売業許可

化粧品製造業許可

「化粧品製造業許可」とは化粧品を製造するために必要な、都道府県知事による許可のことです。化粧品を製造する業者は、必ず申請しなければなりません。

化粧品製造業許可を取得することで、化粧品の中身本体の製造や包装・表示・保管行為が行えるようになります。化粧品製造業許可は次の2つの区分に分かれており、目的に合わせて選択する必要があります。

  • 化粧品製造業許可「一般」
  • 化粧品製造業許可「包装・表示・保管」

「一般」の区分においては、化粧品製造における全部または一部を行うことが可能です。

「包装・表示・保管」の区分では、出来上がった製品の箱詰め作業やラベル貼り、保管ができます。こちらの許可のみだと、製造した化粧品は販売することができません。

化粧品製造業許可は製造行為のみが認められた許可になります。

化粧品製造業許可だけでは、市場で化粧品を販売することはできません。開発したオリジナルの化粧品を販売したい場合には、化粧品製造業許可と併せて、化粧品製造販売業許可も取得する必要があります。

化粧品製造販売業許可

「化粧品製造販売業許可」とは、完成した化粧品を市場に販売する際に必要となる許可のことです。化粧品は人体に直接触れるもの。製造販売において規制を厳しくすることで安全性を確保するために、化粧品製造販売業許可が必要となるのです。

複数の営業所がある場合には、総括製造販売責任者の在籍する事業所がある都道府県知事に対し申請手続きを行います。

他社で製造された化粧品を仕入れて販売するだけの場合は、化粧品製造販売業許可の申請は不要です。

流通した化粧品の品質・安全管理などは、化粧品製造販売業許可を取得した業者が全て責任を負うことになります。つまり、化粧品製造販売業許可を取得することで、世に出した化粧品の管理監督義務が発生する、ということです。問題があった場合などは製品を回収し、その後の必要な措置を適宜行う責任があります。

ここまで見てきたように、化粧品の製造と販売を自社で一貫して行う場合、「化粧品製造業許可」・「化粧品製造販売業許可」の2つが必要となることを、まず覚えておきましょう。

化粧品製造業許可の取得要件

本章では「化粧品製造業許可」の取得要件について、すこし細かく見ていきます。
“薬機法” という法律に基づき、化粧品製造業許可を取得するためには複数の要件があります。

化粧品製造業許可の取得要件を、それでは具体的に見ていきましょう。

  1. 申請者が欠格事由に該当しないこと
  2. 責任者を設置すること
  3. 製造所の構造設備が「薬局等構造設備規則」に適合すること

申請者の要件

個人であれば申請者が、法人であれば業務を行う役員全員が、一定の欠格事由に該当しないことが要件となります。欠格事由は下記のとおりです。

  • 今までに化粧品等の許可を取り消され、取消より3年を経過していない者
  • 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から3年を経過していない者
  • 薬機法、麻薬及び向精神薬取締法などの薬事に関する法令や処分に違反した日から2年を経過していない者
  • 麻薬等の中毒者でない者
  • 心身の障害により業務を適切に行うことが出来ない者

責任者の要件

化粧品製造業許可を取得するために、「責任技術者」という、化粧品の製造を管理するための責任者を置く必要があります。
許可を取る初期のとりかかりでネックとなることが多い事項でもあります。
責任者になる為の基準は製造販売業の場合とあわせて、のちほど3章で詳しく特集いたします。

製造所の構造設備の適合

化粧品製造業許可の要件で一番重要なのはこの製造所の構造設備基準の適合ではないでしょうか。製品の中身を製造する一般区分と、包装表示のみ行う包装・表示・保管区分では基準の厳格さも異なりますが、製品を衛生的にかつ安全に製造・保管するための最重要な項目となります。一般区分の場合は特に、製造業の取得を考えたら、物件選び、設備の選定は慎重に行いましょう。下記に法令で求められる基準を記しますが、この基準だけでは必要な設備は明確には把握できません。必ず管轄の都道府県へ事前相談を行い設備に準備をすることをお勧めいたします。

●一般区分の要件
① 製品を製造するのに必要な設備や器具を備えていること。
② 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
 ・換気が適切であり、清潔であること。
 ・ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
 ・作業を行うのに支障のない面積を有すること。
 ・防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
 ・ 床は、板張り、コンクリート等であること。
 ・ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
③製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
④製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、他の試験検査機関を利用して試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときは、この限りでない。

●包装・表示・保管区分の要件
① 製品や資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造や設備がある事。
② 作業を適切に行うのに支障のない面積があること。
③ 製品や資材の試験検査に必要な設備や器具を備えていること。ただし、他の試験検査機関を利用して試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときは、この限りでない。

▲化粧品製造販売業許可の取得要件および詳細は、こちらの記事をご参照ください

責任者要件について(化粧品許可の最難関)

化粧品製造業許可と化粧品製造販売業許可を取得する中で、大変重要とされている項目です。

どのような場合が責任者に該当するのか、一緒に確認していきましょう。

製造業も、製造販売業の、それぞれ「責任者」の設置が必須となります。
製造業は、「責任技術者」
製造販売業は、「総括製造販売責任者」

責任者の役割は、製造業は製品の製造に関して、製造販売業は製品の品質や安全の適正な管理業務を統括することです。したがって化粧品の製造や関係法令に精通していることが求められます。

責任者の要件について詳しく見る

責任者になれる要件を具体的にみていきます。
責任技術者、総括製造販売責任者、ともに4つのカテゴリに分かれます。

①資格

薬剤師の資格をお持ちの方。

一般的には、この条件で就任しているケースが多数です。

②学歴

高校以上の学校で、薬学、化学に関するの専門課程を習得した方。

ここでいう専門課程は、学部や学科名に「薬学」「化学」が含まれている学部や学科を卒業した者。学科名などに含まれていない場合は、単位取得証明書などで、○○化学、といった科目を12単位以上取得していることを証明できる者。

➂学歴+実務経験

高校以上の学校で薬学または化学に関する科目を習得した後

(責任技術者の場合)医薬品または化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
(総括製造販売責任者の場合)医薬品、医薬部外品、または化粧品の品質管理または製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者

学歴については責任技術者も総括製造販売責任者も同じです。高校以上で「化学」の単位を1単位でも修得していれば良いとされています。

実務経験において、単に化粧品の販売会社に勤めていた、というだけでは要件に該当しません。
小売販売ではなく、製造販売業の許可を持っている会社で、品質管理や安全管理の業務に携わった経験が必要になります。たとえ製造販売業の会社にいたとしても、たとえば配属が営業部門でしたら該当しないということになります。

3つ目の要件に関して、具体的な解決策の一例をあげてみましょう。

薬剤師を雇用し責任者に就任、新規で化粧品製造販売業の許可を取得。その後責任者の管理のもと、化粧品の品質管理や安全管理の業務を担当していた社員が、3年後以降に実務経験を有した実績をもとに責任者に就任する、というようなイメージです。

④その他

厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

※常勤であること

①~④のいずれかの条件を満たしたうえで

責任者は会社に常勤でいることが求められます。

常勤というのはフルタイムで稼働できる、ということです。
常勤が求められる背景としては、化粧品事業の品質・安全の管理を統括する必要があるからです。責任者の役割はとても重要なものです。許可業者は品質管理や安全管理の手順書を、法令に沿った内容で作成、運用していく必要がありますが、その手順書を熟知していれば責任者が常勤でないといけない、ということも自ずと理解できるでしょう。

▲化粧品許可の責任者要件については、こちらの記事も是非ご参照ください

化粧品製造業許可申請に必要な書類と手順

化粧品製造業の取得要件を、これまでの内容で確認することができました。

この章では化粧品製造業許可の申請手順と必要書類について、法第13条および第13条の2の2に基づいて詳しく解説します。申請書の提出先、許可証の交付までの具体的な流れを説明し、申請をスムーズに進めるためのポイントを提供します。

化粧品製造業許可申請(法第13条) 

化粧品製造業許可申請書

FD申請 or 書面申請

添付書類

  1. 登記事項証明書
  2. 責任技術者の雇用契約書の写し又は雇用若しくは使用関係を証する書類
  3. 責任技術者の資格を証する書類
  4. 構造設備の概要一覧表
  5. 製造設備器具一覧表
  6. 試験検査器具一覧表
  7. 他の試験検査機関等の利用概要及び契約書の写し又は利用証明書
  8. 製造所の配置図
  9. 製造所の平面図
  10. 製造しようとする品目の一覧表及び代表一品目の製造工程に関する書類
  11. 製造所の案内図

化粧品製造業登録申請(法第13条の2の2) 

○製造業登録について

令和3年8月1日の法改正により、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業について、「許可」に加え、新たに「登録」の制度が設けられました。「登録」は、製造工程のうち「保管のみ」を行う製造所であって、下記①~④の条件のすべてに該当する場合のみ対象となります。

  1. 保管(保管のために必要な検査等を含む。)のみを行う製造所である。
  2. 包装、表示その他の製造行為又は試験検査(当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して行う場合を含む。)を行う製造所ではない。
  3. 最終製品(他の製造所に出荷されるものを除く。)の保管を行う製造所ではない。(=市場への出荷を行う製造所ではない。)
  4. 【医薬品の場合】下記通知の2(2)イ~ニに該当する医薬品(生物学的製剤等)を取り扱う製造所ではない。

通知:令和3年4月28日付け薬生薬審発0428第2号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「医薬品等の保管のみを行う製造所の取扱い等について」

※上記①~④の条件のいずれか一つでも該当しない場合は、「登録」の対象とはならず、「許可」を取得する必要があります。

(参照 法第13条の2の2、施行規則第34条の2)

申請書提出先と許可証交付までの流れ

申請書作成

  1. 業者コードを取得(登録)する(e-Govを利用したオンライン申請)
  2. FD申請ソフトをダウンロードする(厚生労働省のホームページからダウンロード可)
  3. FD申請ソフトで申請書を作成する

申請書の提出

化粧品製造業を行う事業所を管轄する都道府県の薬務課へ作成した書類を提出します。さらに所定の申請手数料(都道府県により異なります)を支払います。

実地調査

管轄の都道府県の薬務課から事業所の実地調査が行われます。

化粧品製造業の実地調査は、製造所の構造設備が厚生労働省令で定める基準(薬局等構造設備規則)に適合しているかどうかの厳格な審査が行われます。

許可証の発行

申請書類の審査および実地調査が適合となると、許可が下り、化粧品製造業者として事業を始めることができます。

許可申請をしてから許可証発行までの標準的な事務処理期間は、約2カ月ほどです。

ただし、申請書類が正確で標準的な場合の期間ですので、資料の補正や追加、調査の結果によっては更に時間がかかりますので、入念な事前の準備および、余裕をもった申請が必要となります。

必要に応じた更新手続き

許可は5年毎に更新手続きが必要となります。書面での審査だけてはなく、新規の時と同様に実地調査が行われます。実地調査ですが、更新の際の調査は通常新規取得の場合よりもかなり厳格な調査が行われます。


新規の場合はこれから製造業者として法令順守し行っていく設備基準等の審査となりますが、更新の場合は5年分の実績があります。その間きちんと法令順守し運営していたかどうかの審査が行われます。

化粧品製造販売業許可が不要な「OEM製品」

自社で化粧品の製造販売を一貫して担うには、許可を取得することが必要であることがわかりました。

製造販売を計画する際、負担をなるべく軽減したい旨お考えの場合は、化粧品製造業許可と化粧品製造販売業許可を取得済みのOEMメーカーに製造を委託することも可能です。

このケースでは、自社で化粧品製造販売業許可を取得せず、化粧品の製造・販売をおこなえます。ブランドの特色、成分配合のチョイスなどを相談しながら製造販売ができるかどうかがカギとなるでしょう。

希望を実現できる協力会社がもしあった場合は、委託も有効な一手となる場合もあるでしょう。

化粧品製造業許可に関する、よくある質問

化粧品事業の許可申請に関するよくある質問(FAQ)をまとめ、申請時に遭遇しやすいトラブルとその解決策を提供します。また、相談窓口やお問い合わせ先についても記載し、読者が必要な情報を迅速に得られるようサポートします。

化粧品製造許可に関するFAQとトラブルシューティング

よくある質問1

OEM事業を始めるにあたり、化粧品製造販売業許可を取得したいが、手続きの方法や行政とのやり取りに不安がある。なるべく早く許可を取得したいがどうすればよいか。

解決策

必要書類を正しく正確に揃える必要があります。速さと正確性を求めるなら、化粧品事業の許可申請を専門にあつかう行政書士に依頼することが有効です。行政書士に依頼することで、提出先の都道府県の審査担当者と最短のスケジュールで適格な調査を行う道筋を立てることが可能になります。

よくある質問2

今まで許可業者に委託して化粧品販売をしており、この度自社で化粧品製造販売業許可を取ることになったが、手順書作成についてどうしたらよいかわからず困ってしまった。

解決策

法令遵守した手順書を作るためには、薬機法に関する専門的な知識が必要となります。

新規参入事業者の場合は、化粧品製造販売業許可の取得後も適切に運用できるようにするためにも、作成時から運用の為のサポートを提案してもらう必要があるでしょう。「ヒアリング」「都度のミーティング」「完成後の手順書の説明」「許可取得の際の実地調査対策」を通して綿密に対策を練ることで、製造販売業者としての責任を知識とともに養うことができるでしょう。

化粧品製造許可に関する相談窓口とお問い合わせ先

ここまで、化粧品製造・販売に必要となる許可(免許)について、大まかな概要を説明してまいりました。

化粧品ビジネスに関わる許可に関しては、新規参入の事業者様には充分な理解が難しい場合が多く、内容は頭に入れたようでも不安になってしまう方もいらっしゃると思います。

そんな時に頼って頂けるのが専門の行政書士です。

化粧品事業を始める際、また始めたけど困っている、そのようなお悩みやお困りごとがある場合はぜひご談ください。丁寧にお話しを伺い、あなたの化粧品ビジネスをサポートします。

初回のご相談は1時間11,000円(税込み)にて承ります。

ご相談の方法はオンラインまたはご来所にて承ります。ご訪問を希望の場合は交通費を頂く場合がございます。ご相談後にご依頼を頂いた場合は、ご相談料は報酬に充当致します。

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