
行政書士
宮本絵理
化粧品業界のサポート通じて、キレイになってテンションが上がり「よし、今日も頑張ろう!」と思える人を増やしていきたいと思っています。あなたの化粧品ビジネスの新規参入を全力でサポートさせていただきます。
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[薬機法広告規制]
化粧品広告で「シワが消える」「血行がよくなる」などの表現を目にしたことはありませんか。
化粧品の効果効能を示す表現は、法律で厳しく制限されています。
本稿では、押さえるべき注意事項を厳選して解説します。
目次
化粧品事業を行うにあたり、薬機法の存在は避けて通ることができません。
薬機法の重要点を押さえることで、化粧品ビジネスを正しくスピーディに行うことが可能になります。逆に言うと、薬機法に対してその場しのぎの中途半端な理解だと、いつまでも法律違反の恐れと隣り合わせになってしまうことが化粧品事業の特徴といえるでしょう。
薬機法とは、そもそもどのような法律なのか、そして化粧品は法律でどのような定義をされているのかを、最初に見ていきましょう。
薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。医薬品や医療機器、化粧品、などが安全に使えるように、ルールを定めた法律です。
商品の安全性と有効性を確保するため、化粧品の効果効能の表現などに対しても厳格なルールが定められており、とくに「虚偽・誇大な広告」等を規制しています。
この規制を守らなければ薬機法違反となり、刑事罰の対象となるおそれもあります。
薬機法は、化粧品製造販売業者が、責任をもって向き合わなければならない法律なのです。
薬機法の第2条の3項に、化粧品についての定義が記載されています。以下抜粋します。
{「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く}
条文を精読すると、シャンプーや保湿剤、ファンデーションや香水などといった美容製品の多くを定義していることが分かります。当たり前だと思われるかもしれません。
しかし分かりやすく要点をいうと、化粧品は「美容のため」のものであり、「治療のため」のものではない、ということなのです。
つまり、「シワが消える」や「血行がよくなる」といった表現は、治療的な意味合いを含み、広告として誇大であるとして法律違反を問われてしまうことになります。
薬機法における化粧品の定義をしっかりと頭に入れておくことが、化粧品の効果効能の表現を考えるうえで大切です。
補足的な知識として、薬用化粧品(医薬部外品)があげられます。
医薬部外品とは、人体に対する作用が緩和なもので医療機器でないものを指します。医薬部外品の中で、化粧品の効果効能をもつものを薬用化粧品と呼びます。
化粧品と異なる点は「有効成分」が配合されていることにあり、特定の効能効果が認められたものが該当します。
化粧品は薬機法において、「人体に対する作用が緩和なもの」と定義されていました。
したがって化粧品の効果効能を謳う表現は限定されており、化粧品として認められる効果効能についても明確なルールが決められています。
それが「化粧品の効能効果(56項目)」です。
化粧品の効能効果とし表現することができる範囲は「化粧品の効能効果(56項目)」に限られています。
注1) 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2) 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3) ( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
「化粧品」として商品を流通させていく為には、上記の範囲内での効果効能を表現する必要があります。ただし、上記表現をそのまま使用しなければいけない、ということではありません。
ニュアンスや言い回しを変えて表現することは可能です。その際は、過度な言い回しにより効果効能の範囲を逸脱してしまわないように注意しましょう。
本稿の冒頭に掲げた「シワが消える」「血行がよくなる」のような表現は、化粧品の効果効能の範囲を超えているため表現することはできません。
ただし先ほども触れたように、薬機法の56表現をそのまま使用しなければならないということではありません。有効な表現を使用するためには、薬機法に抵触しない広告表現への言い換えを学ぶ必要があります。
「言い換え」はちょっとしたテクニックといえますが、知っておけば法律を遵守しながら魅力的な表現が可能になります。一例をご紹介しましょう。
「肌をととのえる」「肌をひきしめる」「肌のツヤをあたえる」といった56個の効能効果の範囲での表現であれば可能です。
「ハリと弾力をサポートし、若々しいお肌へ」なども、直接的ではなく、シワの改善に結びつく効果を表すことができるでしょう。
なおシワについては、56番に「乾燥による小じわを目立たなくする。」という効能が、平成23年の「化粧品の効能の範囲の改定」で追加されています。
ただし上記表現は、効能評価試験を行い、効果を標榜できる製品のみが表現可能となります。使用には注意が必要です。
化粧品でもっともポピュラーな表現は「美白」ではないでしょうか。
美白という言葉も56項目には存在せず、そのまま使用することはできません。
「日焼けによるシミを防ぐ」「メラニンの生成を抑え、肌を明るく演出」などに言い換えましょう。
化粧水の場合、「肌の保湿力を上げる」などといった表現はNGになります。
化粧品は美容のためのものであり、「人体に対する作用が緩和なもの」という薬機法の定義が為されているのでした。これらの表現は誇大と捉えられてしまうので、使用できません。
化粧水に使用できそうな表現を、先ほどの56項目の中から探してみると、「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の水分、油分を補い保つ」「皮膚の乾燥を防ぐ」などが候補になるでしょう。
「乾燥を防ぎ、肌本来のうるおいをサポート」のような表現で、薬機法と効果効能の範囲を守りながら、化粧水の保湿力を表してみましょう。
化粧品の効果効能が56個であるというルールが存在することについて触れてきました。
法律の知識を身に着けていなければ、つい過度な表現を広告などに繰り返し使用してしまうケースが発生しがちです。
「他社が使用しているからウチでも使用して大丈夫だ」
「他社よりももっと効果的な表現を使用したい」
こうした思いが落とし穴となるケースが多々存在します。
効果効能を逸脱した表現で化粧品を流通させた場合、回収の原因になったり、課徴金が課せられてしまう恐れもあります。なにより薬機法違反は、会社の社会的信用を著しく失墜させてしまいます。
・取り扱おうとしている製品が化粧品に該当するのかどうか分からない
・化粧品の広告表現を法律にしたがって正確に考えたい
こうしたケースでは、専門の行政書士等に相談することをおすすめします。
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